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コワーキングスペースは儲からない?原因と黒字化の具体策を解説

「コワーキングスペースは儲からない」。SNSや経営相談の場で、こうした声を目にすることが増えています。しかし、コワーキングスペースという業態そのものが儲からないわけではありません。多くの場合、ビジネスモデルと運営方法がかみ合っていないことが、赤字の引き金になっています。
この記事では、コワーキングスペース経営が赤字になりやすい原因を整理します。あわせて、データや事例をもとに、黒字化への具体策をわかりやすく解説します。
1.なぜ「コワーキングスペースは儲からない」と言われるのか
コワーキングスペースは、家賃や内装費など固定費が重い事業です。だからこそ、収益構造のズレを早めに見つけて、手を打つことが欠かせません。まずは、赤字に陥りやすい3つの原因を確認していきましょう。
会員化・集客のつまずきが収益を不安定にする
多くのコワーキングスペースは、月額会員からの収入を経営の柱にしています。しかし、月額会員だけに頼った収益モデルには弱点があります。退会が続くと、収益がすぐに落ち込んでしまうのです。
また、ふらっと立ち寄る一時利用、いわゆるドロップインの需要を取りこぼしているケースも少なくありません。受付対応の手間や、ドロップイン利用ができること自体が知られていないなど、認知不足が機会損失を招いています。
さらに、予約の入り口が自社サイトだけに限られている施設も多く見られます。予約経路が少ないと、新規利用者と出会う機会そのものが減ってしまいます。結果として、集客の伸び悩みに直結します。
空きスペースとデータの活用不足が「もったいない」を生む
夜間や休日など、稼働の少ない時間帯をそのまま放置している施設は珍しくありません。せっかくのスペースが眠ったままでは、収益化のチャンスを逃していることになります。
また、稼働率や会員データ、売上データを可視化できていない施設も多く見られます。経験や勘だけに頼った経営になりがちだからです。データにもとづいた判断ができなければ、どこに手を打てばよいのかも見えてきません。
過剰な運営コストが利益を圧迫する
常駐スタッフを配置する運営スタイルは、安心感がある一方で人件費という重い固定費を生みます。東洋経済オンラインの報道によると、大手シェアオフィス事業者でも、都心部の賃料水準の高さから黒字化に時間がかかっているケースがあるといいます。
また、料金プランが複雑で分かりづらいことも、検討段階での離脱を招く一因です。受付や請求を手作業で行っている施設ほど、日々の運営負担も増えていきます。
2.数字で見るコワーキング市場の伸びと変化
「儲からない」と言われる一方で、市場そのものは拡大を続けています。まずは客観的なデータで、市場の現状を押さえておきましょう。
ザイマックス総研の調査によると、東京23区内のフレキシブルオフィス(コワーキングスペースやシェアオフィスなどの総称)の拠点数は、2020年の600件強から2022年には1,080件へと増えました。
日本能率協会総合研究所は、2026年度のフレキシブルオフィス市場規模が2,300億円に達すると予測しています。
一方で、総務省の令和7年版情報通信白書によると、テレワークを導入している企業の割合は47.3%にとどまっています。しかも2022年以降、やや減少傾向にあることも分かっています。
つまり、市場は拡大していても、テレワーク需要だけに頼った集客には限界があるということです。中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21でも、ホテルや商業施設の運営者による新規参入が増え、競合が強まっている実情が紹介されています。だからこそ、施設ごとの稼働率や利用者の質を高める工夫が、これまで以上に問われる時代になっています。
| 項目 | データ | 出典 |
| 東京23区の拠点数(2020年→2022年) | 約600件 → 1,080件 | ザイマックス総研 |
| フレキシブルオフィス市場規模(2026年度予測) | 2,300億円 | 日本能率協会総合研究所 |
| テレワーク導入企業の割合(令和6年) | 47.3%(2022年以降やや減少傾向) | 総務省 |
3.黒字化に向けた3つの具体策
赤字体質から抜け出すには、集客・運営・データ活用の3つの視点から、同時に手を打つことが効果的です。
集客チャネルを広げ、ドロップインと空き時間を収益に変える
自社サイトだけに頼らず、外部の予約ポータルサイトへの掲載やSNS運用を強化しましょう。そうすることで、新しい利用者との接点を増やせます。さらに、夜間や休日の空きスペースを時間貸しのレンタルスペースとして開放すれば、ドロップイン利用と空き時間の両方を収益に変えられます。
無人化・省力化でコストを抑え、24時間対応を実現する
スマートロックや自動決済システム、オンライン予約の仕組みを導入すれば、常駐スタッフに頼らない運営が可能になります。人件費という大きな固定費を抑えながら、24時間利用できる施設へと進化させることもできるのです。
たとえば、OnePlace HUBのように、複数拠点の予約・チェックイン・決済・スマートロックを一つの仕組みでまとめて管理できるサービスもあります。こうした仕組みを取り入れれば、無人化と会員管理の両立がぐっとしやすくなります。ゼロからシステムを開発しなくても、既存のサービスを活用するだけで省力化に近づけるのは心強いポイントです。
データを可視化し、シンプルな料金体系に見直す
時間帯やエリアごとの稼働率、会員一人ひとりの利用傾向を可視化してみましょう。すると、どのプランが本当に選ばれているのかが見えてきます。そのデータをもとに料金体系をシンプルに整理すれば、利用者にとって分かりやすくなります。検討段階での離脱も防ぎやすくなるでしょう。

| 改善策 | 具体的な取り組み | 期待できる効果 |
| 集客チャネルの拡大 | 予約ポータルサイトへの掲載、SNS運用、時間貸し | ドロップイン利用と空き時間の収益化 |
| 無人化・省力化 | スマートロック、自動決済、オンライン予約の導入 | 人件費の削減と24時間対応 |
| データの可視化 | 稼働率・会員データの分析にもとづく料金見直し | シンプルで選ばれやすい料金体系 |
4.参考になる運営の工夫(事例から学ぶ)
実際に、開業したものの利用者が集まらず苦戦したケースも報告されています。あるnote上の運営体験談では、地方に開業した施設で契約者が2名ほどの状態が半年ほど続いたことが明かされています。
このケースからも分かるように、「作れば人が来る」という前提だけで開業してしまうと、集客の仕組みづくりが後回しになりがちです。開業前の段階から、集客チャネルの設計やデータにもとづく需要予測を行っておくことが、赤字を防ぐ第一歩になります。

5.まとめ
コワーキングスペースが儲からないと言われる背景には、3つの構造的な課題があります。月額会員への依存、空きスペースの放置、そして過剰な運営コストです。
市場全体は拡大を続けているからこそ、対策次第で黒字化は十分に狙えます。集客チャネルの拡大、無人化による省力化、データにもとづく料金の見直し。この3つを組み合わせることが、黒字化への近道です。自施設の現状を数字で振り返りながら、できるところから少しずつ改善を進めていきましょう。