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コラム

空き家・古民家が「稼ぐ拠点」に変わる ― 地方コワーキング・レンタルスペースの新しいかたち

「席を並べて待つ」ビジネスから、「地域資源×掛け算」で稼働率を高めるビジネスへ

裕洋とした駐車場を備えた綺麗な古民家

コワーキングスペースやレンタルスペースは、働き方の多様化を背景に、市場全体として今後も成長が見込まれています。一方で、地域別に見てみますと状況は一様ではありません。東京の港区や千代田区、渋谷区といったエリアでは施設数が着実に増加しているのに対し、地方のいくつかのブロックでは施設数の推移がほぼ横ばい、あるいはやや減少しているところも見られます。つまり、都市部に施設が集まっていく流れと、地方で伸び悩む流れとが、同時に進んでいるような状況にあるといえそうです。

「都市部でリモートワークが定着し、地方創生の機運も高まっているのだから、地方でスペースを開設すれば自然と人が集まるはず」と考える方も少なくありません。しかし実際には、都会と同じ感覚で「おしゃれな机と椅子を並べて、利用者が来るのを待つ」だけの不動産賃貸型のビジネスは、地方では高い確率で苦戦してしまいます。地方で確実に需要を捉え、持続可能に黒字化していくためには、ハード・ソフト・システムの3つの視点を組み合わせた「掛け算」の発想が欠かせません。

都市部と同じ戦い方では、なぜ難しいのでしょうか

港区や渋谷区のようなエリアは、もともと企業やスタートアップが集積しており、「作業スペースを確保したい」というニーズがすでに高い水準で存在します。そのため、コワーキングスペースも大型化・高機能化が進み、いわば強みを持つ場所がさらに強くなっていく構造になっています。

一方、地方において同じように「洗練されたワークスペースを用意すれば自然と人が集まる」という発想だけでは、なかなか厳しいのが実情です。ここで大切になるのが、地域に眠る空き家や古民家、広い庭付きの一軒家といった「土地・建物」という資源を、コワーキングやレンタルスペースという「機能」と組み合わせていく視点です。

コワーキングスペースの都会と地方の違い

1. 空き家・古民家を「稼げるハード」に整えるという発想

地方で支持されているスペースには、地方特有の「ライフライン」と「ビジネスニーズ」をしっかり満たしているという共通点があります。空き家や古民家をそのまま貸し出すのではなく、利用者が実際に「使いたい」と感じる設備を整えることが、稼働率を左右する第一歩です。

車社会への対応(駐車場の確保)

地方では、車は生活の足そのものです。どれほど魅力的な空間であっても、「近くの有料コインパーキングをご利用ください」という案内では、日常的に利用するハードルが一気に上がってしまいます。敷地内に無料駐車場がある、あるいは提携駐車場が近接している。空き家や古民家を活用する際には、この点を確保できるかどうかが、地方集客における大きな分かれ目になります。

高速Wi-Fi × 質の高い防音個室

Web会議が当たり前となった今、オープンなフリーアドレス席だけでは、ビジネス利用者を十分に満足させることはできません。自宅やカフェでは代替しにくい「ノイズが遮断され、安心して商談ができる防音個室」と「ストレスのない高速な通信環境」こそが、地方で求められているハードの核心です。古民家ならではの趣ある空間に、こうした機能をどう組み込むかが、価値を大きく左右します。

2. 地域資源との「掛け算」で生まれるユニークな活用

地方には、都市部にはない自然環境や、古民家、庭付きの一軒家といった魅力的な空間資源が数多く存在します。こうした資源を、ワークスペースとしてだけでなく、観光・宿泊・ワーケーション・コミュニティ活動など、複数の用途と組み合わせていくことで、新たな来訪動機と収益機会が生まれます。

実際に「スペースマーケット※1」を見てみますと、地方らしい魅力的な活用例がいくつも見つかります。たとえば、芝生の庭でBBQやテラスタイムを楽しめるフリースペースもあり、こちらのような庭付きスペース※2では、芝生のお庭でゆったりとした時間を過ごすことができます。

また、古民家を一棟貸し切って、野外パーティーや同窓会、撮影会などを楽しむというスタイルも人気を集めています。古民家レンタルスペースの特集ページ※2では、坪庭付きの古民家や、築100年を超える趣のある空間が紹介されており、見ているだけでも楽しい気持ちになります。バーベキューを楽しめるスペースについては貸切バーベキュー特集※2も参考になりそうです。

事例:コスプレ・動画撮影スタジオとしての古民家

地方に多く存在する、比較的手の届きやすい価格で取得・賃貸できる広大な古民家や空き家をリノベーションした事例も増えています。都会では確保しにくい「和室の広さ」や「庭園」といったロケーションを活かし、趣味のコスプレ撮影会やYouTubeなどの動画配信スタジオとして貸し出すというスタイルです。競合となる施設が少ないこともあり、県外から熱心な利用者が集まる拠点となっているケースも見られます。

事例:地元クリエイターが活躍する時間貸しサロンスペース

コワーキングスペースの一部に、個室の施術ベッドや鏡付きのスタジオを併設し、時間貸しするモデルも広がりを見せています。普段は自宅で活動しているネイリストやエステティシャン、ヨガインストラクターなどが、「週に一度だけ自分のお店を持つ」という形で利用できる場として、地域のスモールビジネスを支える拠点になっています。

こうした事例からは、「働く場所」「楽しむ場所」「学ぶ場所」の境界線が、地方では少しずつ曖昧になってきていることが感じられます。日中はワーケーションスペースとして利用されていた古民家が、夕方には仲間と集う野外パーティー会場に、週末には撮影スタジオやサロンに変わる。一つの空間が一日のうちに複数の役割を持つという活用方法こそ、空き家・古民家を活かす地方ならではの魅力ではないでしょうか。

古民家を活用し会議をしている様子

3. 「使われる」ための仕組み ― 自動送客という新しい集客モデル

せっかく魅力的な空き家・古民家をスペースとして整えても、その存在を必要な人に届けられなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。地方の場合、地元の利用者だけでは予約が埋まりにくいことも多く、地方でスペースを運営する上で最大の壁となるのが「認知・集客」です。都会のように「看板を出しておけば人が入る」ということは、なかなか期待できません。

そうした課題に対する選択肢の一つとして、One Place HUB※3のようなサービスが注目を集めています。One Place HUBに登録するだけで、各提携プラットフォームへスペース情報が自動的に掲載され、広告費をかけずに外部ユーザーへアプローチできる仕組みが用意されています。50万人を超える利用ユーザーへ向けて自動的に情報が届けられるとされており、複数のプラットフォームを個別に管理・運用する手間をかけずに、いわば「勝手に送客」される状態をつくることができます。

空き家や古民家を整備しても使われない時間帯、コワーキングスペースの空席や、レンタルスペースの空き枠。こうした「空き時間」を、自動送客の仕組みによって外部ユーザーに効率よく届け、無駄なく売上に変えていく。地域の遊休資産と、地域外からの需要をつなぐこの仕組みは、地方経営における一つのスタンダードになりつつあるといえそうです。

4. 最後の決め手は「人」 ― 不動産賃貸から地域コミュニティの拠点へ

自動送客の仕組みによって新規利用者が途切れない状態を作った上で、最後に重要となるのが、リピーターを生み出す「人」の力です。地方で需要の強いスペースには、何より「魅力的で、能動的な管理人(コミュニティマネージャー)」の存在があります。

「あそこに行けば、誰かと話ができる」「あの管理人に相談すれば、地元の面白い人や企業とつないでもらえる」。自動送客によって訪れた都市部のビジネスパーソンや移住検討者が、管理人を介して地元のコミュニティとつながる。この循環こそが、空き家や古民家という「空間」の価値を、何倍にも高めていく鍵になります。

結び:スペースの価値は「面積」ではなく「稼働率」で決まる

地方でのスペース運営や、空き家・古民家を活用した地域活性化プロジェクトを検討する際、私たちはどうしても「何席作れるか」「何坪あるか」といった面積に目を奪われがちです。しかし本当に大切なのは、整えたスペースがどれだけ無駄なく使われているかという「稼働率」と、そこに集う人たちの「コミュニティの濃さ」ではないでしょうか。

単なる不動産の賃貸業から一歩進んで、駐車場や防音個室といった利用者目線のハードを整え、芝生の庭や古民家といった地域ならではの魅力を活かした「掛け算」の活用方法を考え、さらにOnePlace HUBのような自動送客の仕組みを取り入れて空き時間を売上に変えていく。集客の仕組みはシステムに任せ、オーナーは空間づくりとコミュニティ運営に力を注ぐ。この組み合わせこそが、地方の空き家・古民家を「稼ぐ拠点」へと変え、地域そのものを豊かにしていく、これからの時代の必勝パターンといえるでしょう。

引用元

・※1、※2 スペースマーケット https://www.spacemarket.com/

・※3 One Place HUB トップへ戻る

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